今回はトヨタの2018年度「第3四半期決算」から自動車の販売動向などを抜粋して振り返ってみたい。
結論から言うと、業績見通しの下方修正はあったが会計制度の変更によるもの。世界販売台数は堅調に推移している。
尚、今回プレゼンテーション資料の表紙に使われたのはデトロイトモーターショーでお披露目された新型『スープラ』である。
目次
10月〜12月振り返り
世界販売台数(3ヶ月)
まず、10〜12月期の3カ月間の連結販売台数である。総販売台数は前年同期比で76千台増加した。比較的堅調だ。
日本とアジア地域の増加が寄与した。景気減速が心配されていた中国はそれほど大きな減少にならなかったようだ。
一方で北米・欧州・その他地域(中南・オセアニア・アフリカ・中近東等)で販売台数が減少した。
所在地別営業利益(3ヶ月)
本業の儲けを示す営業利益の所在地別のグラフである。これを見ると日本・アジア地域のウェイトが大きいことがわかる。
9ヶ月累計と通期見通し
世界販売台数(9ヶ月)
こちらは 9カ月間累計の連結販売台数である。日本や北米では前年に比べて減少しているが、アジアの増加でそれを埋め合わせている。
グローバルではグループ総販売台数8,000千台(800万台)に到達。昨年より153千台増加している。比較的堅調なようだ。
連結販売台数(見通し)
こちらは連結販売台数の通期見通しである。前回時点の見通しよりも50千台(5万台)引き上げてきた。日本と欧州で販売台数増を見込むようだ。
連結決算要約(見通し)
損益では、純利益の見通しを4,300億円下方修正した。かなり大きな額の下方修正であるが、米国の会計制度基準にあわせて出資子会社等の株式の評価損を計上したことが理由とのこと。本業は堅調で、競争力をそぐようなものでは無いと説明した。
競争力強化
自動車の販売だけではなく、トヨタは次世代モビリティーサービス企業としての変革にも取り組んでいる。『電動化』『自動運転』だけでなく『コネクテッド/MaaS』もキーワードになってきている。
MasS戦略の一貫として、2月から月額制の車乗り放題サービス『KINTO』がスタートする。
MaaS戦略アプローチ
こちらは「MaaS戦略アプローチ」の概略である。『KINTO』は金融領域に属するようだ。月額定額制(サブスクリプションモデル)の車乗り放題サービスだが、実態は個人向けカーリースに近い。
その他、青の部分の領域は、他社と競合してやっていく部分である。今後は「ライドシェア」や、「カーシェア」もキーワードになってくるだろう。
MaaSにおけるグローバル連携
注目されているソフトバンクグループとの協業『MONET(モネ)』もスタートする。具体的なことは謎に包まれたままだが、日本の最強ものづくり企業軍と、最強ハイテク企業群との協業はワクワク感がある。
国内ではライドシェアの領域で未だ規制の壁が立ちはだかっているが、自動運転技術の開発も含めて最強企業タッグで頑張ってほしい。