今回は日産自動車の2018年度「第3四半期決算」から、自動車の販売動向などを抜粋して振り返ってみたい。
結論から言うと、苦戦している北米と欧州に加えて、中国での販売見通しも引き下げた。通期業績見通しも営業利益900億円を下方修正した。
第3四半期
10月〜12月期
10〜12月期(3カ月間)の総括である。グローバル販売台数は前年同期比で△2.6%減少したが、全体需要以上の縮小にならなかったことが救いだ。3カ月間で見れば中国の落ち込みがあったが、それ以上に課題となっている地域として米国と欧州(ロシア含むヨーロッパ)があげられた。こちらは後に詳しく見ていく。
右側の財務面では、営業利益は前年同期比で増収している。赤字で示した過年度財務情報の修正額△92億円はカルロス・ゴーンの報酬未記載案件だ。保守的に見た数字で実際に支払うことは確定していないようだが、損失として今期に一括計上したようだ。
9ヶ月の累計
こちらは第3四半期(9カ月間)の累計である。北米と欧州が対前年同期比で大きく落ち込んでいる。単に景気に左右された販売減少だけでなく、「日産ブランドの確立」に課題があると認識しているようだ。
日本
地域別に見ていくと日本市場は9ヶ月累計で販売台数8.4%増加。比較的堅調と言える。車種では『日産リーフ』『ノートe-POWER』『セレナe-POWER』が好調なようだ。広告を目にする機会も多い。
中国
中国市場は、直近3ヶ月で落ち込んだが、上半期に貯金があったため累計で見ると前年同期比7.4%増加だ。中国市場では比較的ブランドが浸透しており、強みを発揮しているようだ。
北米
問題なのが北米市場だ。前期比から販売もシェアも減少。後に行われた西川社長の質疑応答では、全体需要も頭打ち(ピークアウトした)と言う言葉が出た。
さらに米国では「日産ブランドの確立」に課題があると認識を示した。競争が激しい米国市場では販売奨励などを積極的にしないと車が売れない状態という。現在テコ入れを進めているとのこと。
欧州
主要欧州市場でも販売台数、市場シェアとも前期比マイナス。ロシアでは全体需要が増加するなかでわずかに販売を伸ばした。車種として比較的好調なのが日本未発売のコンパクトSUV『キャシュカイ』と『リーフ』とのこと。
その他
その他市場では、まちまちといった状況だ。新興国全体で見るとわずかに販売を伸ばしているようだ。
通期の見通し
販売台数見通し
2018年度の販売台数見通しである。日本を含めた全グローバル市場で当初よりも販売台数見通しを引き下げた。目先では中国の引き下げが最も大きい。こちらは米中貿易戦争による景気減速懸念だろう。
業績見通し
最後に業績の見通しである。販売台数見通しを引き下げたことにより、本業の儲けを示す営業利益においても900億円下方修正した。
尚、今回はカルロスゴーン逮捕後初の決算発表後だっただけに、報道陣も多く駆けつけていた。現在、ルノー新会長ジャンドミニク・スナール氏が来日中で、後に日産経営陣と初顔合わせのようだ。
決算発表後の質疑応答に立った西川社長は、今後は3社連合アライアンス継続と、コーポレート・ガバナンス確立に向けてしっかりコミュニケーションをとっていくと話した。
https://www.nissan-global.com/JP/IR/LIBRARY/FINANCIAL/2018/